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曽爾村は子ども同士や
親同士の仲がいい村

少子化により誕生した曽爾村立曽爾小中学校は、小中一貫の施設一体型学校です。校長の吉田さんは、「曽爾村は子ども同士、親同士の仲がいい村だと感じました。人間力の強さ、豊かさがあります」と村の印象を話します。また、吉田さんは「子どもはあるがままの姿を大人一人にでもいいから認められたいもの」という考えから、多様な人に接する教育、曽爾村の環境や文化だからこその形を目指しています。

地域の大人と語り合い
子どもは思考力の土台を育む

2019年6月から月に1回開催しているのが、地域のみんなで対話をするカフェ「漆(ぬる)カフェ」です。吉田さんは漆に関心が高く、漆発祥の地であることへの敬意を込めて「漆=ぬるべ」から命名したといいます。「毎回テーマを決め、大人や子どもが一緒になって話します。地域の方なら誰が来てもいいんです。勝負をつける討論ではなく、哲学対話をしています。子どもがお年寄りと接点をもち、日ごろのいろいろなことを話し、思考力の土台となる『自ら考える力』をつける取り組みです。毎回、平均で10人ほどが参加しています。子どもたちのことを純粋に考えている大人が多くて、えぇなぁと思いました」。

ビオトープの周りに漆を植え
自ら発見し、学ぶ環境を

吉田さんは、子どもが自ら発見することにつながるような総合教育ができたらと考えています。その一つとして、同校では2020年にビオトープ(観察池)をつくり、その周囲に漆の苗を植えようとしています。「うるしの実を撒いて発芽させる『実生』と、根を掘ってそれを植える『分根』と、曽爾産の苗、全部で3種類を植えようかなと。子どもは環境から学び、それが知識や生きる力にもつながっていきます。先生たちが地域文化に興味をもって視野を広げることも重要ですね。漆のことを子どもたちに伝えたいですし、卒業制作などにも漆を取り入れていけたらと思っています」。

これからつくるビオトープの構想のイラスト。たくさんの生き物が共生する環境づくりは、きっと教育にも通ずる部分が多いでしょう。漆の苗。

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