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漆がある曽爾村に、来れてよかった

高松さんは移住後、曽爾村が日本の漆塗り発祥の地だと知りました。「漆は日本らしさを象徴するような素材で、地域にとってはオリジナリティを出せるもの。漆がある村に来れてよかったと思いました」。その価値や可能性を伸ばしたいと考えたものの、漆の産地の塩井は村内で最も高齢化している地区。「塩井の人たちが続けてきた活動を未来へつなぎたい。村の宝である漆を守っていくために、各地に点在している漆に興味をもつ人々と一緒に、村全体で活動できたら」と感じていました。

2020年3月に行った漆の植栽イベントでは、村内外約50人もの人が参加。年齢や立場、国境をも超えて広がる縁が何よりの財産。

あらゆる立場の人で曽爾村の漆を盛り上げたい

「自分がいるからには、絶対に地域をよくしたい。できる限りのことをやろう」。そう決めた高松さんは、「漆ぬるべ会」の植樹などにプライベートで参加し、地域の人や漆に関心をもつ人々と交流しました。「漆に関わる方たちは個性的でおもしろく、それも漆の魅力だと思っています」。そんなとき、県の自由提案の補助金制度の存在を知ります。「塩井の方たちがつないできた文化を、今こそ村全体の事業にして、あらゆる立場の人でつくりあげていくときじゃないか」。そう考えた高松さんは2019年5月、村の漆の未来をつくるプロジェクトを提案。無事に採択されたのです。こうしてプロジェクトが始動し、有志で活動していた「漆ぬるべ会」が村と関わり始めました。

漆を植林の選択肢の一つに
身近な文化として継承する

「プロジェクトとしてみんなで植樹をした日、塩井地区で活動し続けてきた『漆ぬるべ会』の方から『僕らには、地区を越えた広域の活動はできんかった』と言われたんです。漆の活動を少し前に進められたことがうれしかったです」と、高松さん。現在は村有林に漆を植えていますが、今後は村民に私有地にも植えてもらえるようにしたいと考えています。「漆は広葉樹ですし、10年、15年後の森を考えたときの、植林の選択肢の一つになったらいいなと。そのために、人々が漆に親しむ場面をつくっていくことが大事だと思います」。そこで村として、飲食店や家庭に貸し出す漆器を用意しました。「漆は営みですから。身近な文化として継承していきたいです」。

貸出可能な漆器。デザイン・制作は奈良市内で漆芸作家として活動している阪本修氏。漆でつくった曽爾村役場職員の名札。漆を身近に感じてもらえるよう、ワークショップ形式で、自らの名札を制作しました。

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曽爾村森林組合

西口 賢次さん、林 宙さん、
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